吉田鎌ヶ迫 Yoshida Kamagasako, Inc.
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株式会社吉田鎌ヶ迫 ヨシダカマガサコ
インタビュー
インタビュー


 
チーフソフトウェアアーキテクト 林雄一郎が語るヨシダカマガサコ

【略歴】
 1977年山口県生まれ。1995年山口県私立香川高校卒業、2002年早稲田大学法学部卒業。
 2002年に株式会社NTTデータ入社、官庁用電子申請システムや電子公文書発行システムの開発を担当。2005年には官庁用次世代基盤システムの企画を担当、ソフトウェアアーキテクチャ設計グループのリーダーとなる。また、モデリング勉強会等で業務モデリングやオブジェクト指向の啓蒙に努める。個人的に開発したXMLエディタ「XMLEDITOR.NET」が窓の杜ソフトライブラリに採用され、2005年窓の杜グランプリにノミネートされる。
 2006年1月、株式会社吉田鎌ヶ迫に入社、取締役副社長・チーフソフトウェアアーキテクトを務め現在に至る。

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質問
 よろしくお願いします。林さんはヨシダカマガサコの3人目のメンバーということになりますが、どのような経緯で入社することになったんですか?
林 雄一郎
 大学生のころから共通の友人を通じて吉田さんとは交流があって、ビジネスモデルを考える勉強会をやっていたんです。ヨシダカマガサコとは別なのですがベンチャー企業の立ち上げに参加してシステムの開発運用やネットワークの構築などを手伝っていたこともあります。
 ヨシダカマガサコの設立前から誘いは受けていて、設立2年目になってビジネスの内容も固まってきて将来性もありそうだし面白そうだったので、そこでジョインすることにしたんです。前から働くならベンチャーだと公言してはいたんですが、ちょうどそのタイミングが来た!という感じでした。自然の流れですね。


質問
 昔からベンチャー志向だったんですね。でも、大学は法学部だったんですよね?プログラミングに精通しているというのはちょっと意外な感じはします。どういうきっかけでプログラミングをするようになったんですか?
林 雄一郎
 もともとゲームが大好きで、遊ぶだけでなく作る方にも興味があったんです。小学生のころはノートにゲームの世界観やシステム、マップやキャラクターを書いて弟や近所の子達と遊んでました。今思えばテーブルトークRPGのデザイナーとゲームマスターを兼任していた感じですね。
 その後も毎日のようにコンピューターゲームで遊びまくっていたのですが、人の作ったゲームを遊んでると、システムや世界観がこうだったらもっと面白いんじゃないかとかいろいろ出てくるじゃないですか。で、あるとき知ったんです。プログラミング言語というものを使えば、頭の中の世界を具現化して動かすことができると。それを使えば100%自分の思い通りのゲームが作れるわけで、それから完全にプログラミングにハマってしまいました。


質問
 自分が遊びたいゲームを自分で作ってしまえばいい、という発想はかなり飛び抜けていますね!頭で思っても実行するのは簡単ではないですし。プログラミングを始めたのはいつ頃なんですか?
林 雄一郎
 大学3年の頃です。


質問
 大学3年から始めたんですか!かなりの短期間でプログラミングを習得してしまったんですね。もっと昔からやっているものだと思っていました。
林 雄一郎
 プログラミング言語は論理構造が明確でシンプルなので、数週間集中してやればそれなりに書けるようになります。自然言語だとそうはいきませんが(笑)


質問
 そういうものなんですかね(笑)。ちなみに最初はどの言語で始めましたか?
林 雄一郎
 最初はC++から始めました。なぜC++かというと、パフォーマンスと生産性のバランスが一番良かったからです。DirectXをまともに扱えたのはC/C++だけですし、高性能なライブラリを利用できたことが大きかったです。当時ゲーム製作用のスクリプト言語もいくつかあって、それを使えばかなり簡単に作れはするのですが、パフォーマンスが出ません。結局、どうせやるならプロと同じ環境でということで、C++を選びました。C++ならオブジェクト指向でプログラミングできますし。オブジェクト指向はゲームと相性いいんです。


質問
 最初からプロと同じ環境でというのはかなり気合が入ってますね! C++を使ってどのようなモノを作っていたんですか?
林 雄一郎
 シミュレーションゲームとロールプレイングゲームが好きなので、両者を組み合わせた感じのゲームを作っていました。ある一定のルールをもって進行する世界があって、プレイヤーを含めたその世界の住人と環境との相互作用によって、ダイナミックに変化していくゲームです。あらかじめ決められたシナリオはありません。今思うと最近流行りのMMORPGに近いかもしれませんが、もっと世界の構造をメタレベルで記述して、見せ方を変えるだけで様々なジャンルのゲームを体験できるようなものを目指していました。
 また、人間のような思考をするAIや人工生命的なものも作ろうとしていましたね。ニューラルネットや遺伝的アルゴリズムなど組み合わせてああだこうだと。そうしていくうちに、ゲームを超えて現実の世界とは別のもうひとつの世界をコンピュータ上で再現することに情熱を傾けるようになっていきました。
 ひとつの世界すべてをシミュレートするとなるといろいろな学問の領域に触れないといけないんで、大学の授業そっちのけで没頭していましたね。


質問
 それはものすごく壮大なプランですね!確かに世界をシミュレートするプログラムを作ろうとしたらいくら時間があっても足りなさそうではあります(笑)。ずばり、プログラミングの魅力って何ですか?
林 雄一郎
 極端に言ってしまえば考えたことが何でも表現できるというか、コンピュータの中ならどんなものでも実現できる可能性があるんです。しかも、プログラミングは材料がいらないのでお金がかからない、0円というのが素晴らしいです。文字を打ったらもう出来上がりってもうビックリですよ。それに尽きます。


質問
 0円というのは確かに魅力的ですよね。しかし実際のところプログラムで世界を作るって可能なんですかね?
林 雄一郎
 パソコンをはじめとした現在のコンピュータはノイマン型計算機といって、0と1だけで構成されたプログラムによってあらゆる計算を実行できるんです。つまりこの世を物理法則で記述できるならば世界自体をコンピュータ上でシミュレートすることが可能です。
 人間の脳だって電気信号で動いているわけなので、仕組みが解明されればプログラムで表現できるようになるかもしれません。コンピュータの性能の問題などはありますけど、究極的にはこの世界と全く同じものを作れる可能性があるわけです。そんなすごいツールがタダで使えるなんてとんでもないことですよ。


質問
 言われてみると確かにそうですけど、本当に実現したらすごいことですね!夢が広がります。プログラミングをするようになった経緯は良くわかりましたが、チーフソフトウェアアーキテクトとはどういう役割の仕事なのでしょうか?
林 雄一郎
 アーキテクトには建築家という意味がありますよね。
 建築家は何をするかというと、まずはお客様からこういう家やビルを建てて欲しいと漠然とした依頼を受けるわけじゃないですか。その時に必要なのが、お客様のあいまいな要求をしっかりと作れるレベルに落とし込んであげるというのが一つと、その要求を実現するにあたって最適な建材や工法を選択することです。
 それぞれの資材部品工法にはいろいろ長短があるわけで、お客様の要求を最大限実現するために必要な道具とやり方をそろえてあげると。あとは、お客様の要求以外の品質的な要件(耐久性・耐震性など)を満たせるように、コストと相談しつつ最適な組み合わせを考えるわけです。


質問
 その仕事をソフトウェア開発に移したのがソフトウェアアーキテクトということですか?
林 雄一郎
 そういうことです。
 ほかには、将来の変更や拡張に簡単に対応でき、バグが出にくく高パフォーマンスなアーキテクチャを考えたり、それらを統合的に設計する仕事です。もちろん設計するだけでなく必要に応じてプログラミングもします。


質問
 良くわかりました!設計がおかしかったら後々大変なことになりますし重要な役割の仕事ですね。しかも幅広い知識がないことにはできませんし。ちなみに好きなプログラミング言語ってありますか?
林 雄一郎
 C++とC#ですね。
 世の中にあるほとんどプログラムやOSはC/C++で作られていますし、C++で作れないものは存在しないと言っても過言ではないぐらいです。Cの柔軟性、パフォーマンスとオブジェクト指向の生産性がバランスしてるので好きですね。Javaなど最近の言語に比べると生産性は落ちますが、コンピュータを動かしてる!って感じが残ってるのがイイです。
 C#はJavaやDelphiの生産性とC++の柔軟性が融合したような素敵な言語です。実は言語より.NET Frameworkという実行環境の方が重要なんですけど。ともかく基本クラスライブラリが充実しているのでJavaのように外部のライブラリをいくつも読み込む必要もありませんし、その気になればネイティブのAPIを呼ぶことだってできます。Windowsならこれ一本で十分ですし、最近はMONOプロジェクトといってMacやLinuxなどにも対応プラットフォームが広がっています。
 ちなみに個人的にC#を使って開発したXMLEDITOR.NETというフリーのXMLエディタが窓の杜で公開されています。ニッチなソフトですが意外とダウンロード数が多く、業務の中でも結構使われているようで嬉しいですね。


質問
 XMLEDITOR.NETは法人でも使われているところがあってかなり役に立っているようですね。しかもフリーソフトというところが素晴らしい!仕事をする上で、日々心掛けていることはありますか?
林 雄一郎
 常に相手が期待している以上のことをやるということですね。期待通りのことをやってもつまらないので、それを超えるために最善を尽くすよう心掛けています。


質問
 なるほど〜。求められている以上のものを作ればお客様にも喜んで頂けますし、とても重要なことですよね。それではヨシダカマガサコの仕事仲間についてはどうですか?
林 雄一郎
 最高なやつらです!(笑)
 名物社長もいますよ、社長が面白いです。皆、専門性もあってお互いかぶってないからうまく役割分担できてますし、性格の不一致もないですし仕事しやすいですね。上司上司した存在がいないので、フラットで自由な感じなのがいいです。上から急に降ってくるという仕事がないですし、決めることも皆で議論して決めるというのが基本なので納得感はありますね。


質問
 全員同年代で若い(?)ですし、そこは少数精鋭でやっているからこその特権でもありますよね。
 次に具体的な仕事の話を聞きたいと思います。林さんは「Spear Multi」の設計・開発を担当したわけですが、一番苦労したことはどういう部分でしたか?
林 雄一郎
 実機では電波が弱くなったり急に途切れたりすると、シミュレータの結果と違った予期しない動きをするので、そこを一つ一つ試しながら潰していくのは大変な作業でした。
 一番は端末の制限の影響をなるべく受けないようにする方法を考えるところでしたね。「Spear Multi」は多人数対応型のケータイP2Pフレームワークなのですが、携帯電話の少ないリソースやネットワーク帯域の中で、どうやったら多人数をスムーズに接続することができるのかという点に一番頭を使いました。


質問
 それは携帯電話だからこそ起こる問題ですよね。しかし、その解決策が2件の特許として認められたんですよね。素晴らしい!
 開発もいろいろな話が舞い込んできて手が足りなくなってきてますよね。現在開発者を募集していますが、どのような人がヨシダカマガサコに合うと思いますか?
林 雄一郎
 開拓者求む!
 自分で新しい領域をどんどん切り開いていける人。開発者でもどんどん自分で前に進んでくれる人がいいですね。1週間夜遅くまで何かやっていると思ったら、「こんなのできました!」とか言って、見るとすごいものが出来ていたり。これですごいビジネスモデルが出来るんじゃない?みたいな(笑)。そんな素敵な方を求めています。
 ポテンシャル重視なので多少プログラミングができないところがあっても、若くて元気とやる気がある人がいいですね。自ら訊ねて来てくれれば、どんなノウハウも開示しますよ。


質問
 ヨシダカマガサコはここが他のソフトウェア会社とは違う、という点はありますか?
林 雄一郎
 まず名前が違います。よく伝統工芸の会社と間違えられます(笑)。
 一般的なソフトウェア会社とは違うのは、受託じゃない研究開発型の企業なのである程度自分たちのペースで仕事が進められるという点ですね。自分の好きなものを開発できるので楽しいですし、自分の作ったものが携帯電話とかインフラに乗っかってくるっていうのはやりがいがあると思います。
 あとは、少人数の会社なのに大企業さんから一人前の会社として扱って頂けているってなかなか無いと思うので、そこは非常に嬉しいですね。


質問
 開発に使っているお気に入りのツールがあれば教えてください。
林 雄一郎
 Visual Studioがお気に入り(?)です。初めて使ったプログラミング用のエディタがVisual Studio 6.0だったのでその流れできていますが、特に不満もないのでそのまま使い続けています。Visual Studioはインテリセンスという補完機能が優れていて、aを打つとaで始まる関数が候補で出てきたり、学習していくと今まで自分が使ったものが優先的に出てくるのは便利ですね!
 あとスクリプトを書いたりするときなどは秀丸エディタを使ってます。シンプルかつ高機能でなかなかいいです。うちの鎌ヶ迫によると他にも良いツールがあるそうなので、機会があればいろいろ試してみたいと思います。


質問
 ハードウェアに関しては何かこだわりを持っていたりしますか?
林 雄一郎
 あと、お気に入りのハード?はイスです。変なイスだと姿勢が悪くなって、肩凝ったり血行が悪くなったり体にガタがくるので、健康に寄与するものなら多少こだわってもいいかなと。今仕事で使ってるのはリクライニング機能付きのワーキングチェアで、背が45度まで傾斜するんですよ!短い時間ですがたまに気分転換として昼寝をさせてもらっているんですけど、ぐっすり眠れます(笑)。昼寝をするのは結構いいですよ、寝た後に外に出て歩くとさらに頭がすっきりしますし、結局はそのほうが効率良く仕事ができます。
 あとはリラックス用チェアとバリバリ仕事する用チェアの2台を使うというのも面白そうですし、バランスボールやバランスチェアも試してみたいですね。


質問
 イスにはかなりこだわりがあるようですね。イス以外にプライベートで最近凝っていることや気になっていることはありますか?
林 雄一郎
 新しい自転車が欲しいですね。イギリスにアレックス・モールトンという自転車メーカーがあって、安いのを1台持っているんですが最新作の自転車がすごくかっこいいんですよ。英国のブラッドフォードにあるモールトン城の地下で熟練の職人さんたちが手作業で細々と作っているんです。
 トラスフレームといってフレームの形が独特で格好いいんですよ。もはや工芸品の域ですね。実際買ったら乗らずに眺めてニヤニヤしてそうです(笑)。


質問
 鑑賞用の自転車を買うというのもなかなかオツではないですか(笑)。買ったらぜひ見せてください。  さて最後の質問となりましたが、今後ヨシダカマガサコでやってみたいことや作ってみたい物はありますか?
林 雄一郎
 世界中の人達に喜んでもらえるようなソフトウェアが作りたいですね。世界中の人達があたりまえのように使っているようなソフトウェアだったりサービスだったりが作れると楽しいだろうなと思います。「ググる」じゃないですけど、「ヨシカマる」みたいな(笑)。ちょっと言いづらいですけど。使っているってことは気づいていないんですけど、実は裏でみんなが使っているみたいなものも面白いですね。


質問
 では最後に、ヨシダカマガサコに興味をもって下さっている方にメッセージをお願いします。
林 雄一郎
 開発者にとって最高の環境だと思います。興味のあるかたはぜひ軽くお茶でも飲みに来てください。ヨシダカマガサコは今後必ず面白いことになると思いますし、楽しいですよ(^-^)!


質問
 忙しいところ、ありがとうございました!
林 雄一郎
 こちらこそ、ありがとうございました。


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